2006年に夫が交通事故に遭い、そこから介護生活が始まった。
夫は脳挫傷の重症を負い、右半身に麻痺が残り、言葉や飲み込みの機能にも障害が生じ、車椅子での生活を余儀なくされた。

多くの方がそうであるように、森さんも最初は介護保険や福祉サービスについての知識を全く持っていなかった。
そのため、行政や制度の支援を十分に利用できず、自力で介護を続けてしまった。

介護は体力的にも精神的にも大きな負担がかかる。森さんも必死に介護を続けたが、やがて自分の体調を崩してしまい、1週間の入院を余儀なくされた。



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余命宣告のように先の見える医療とは違い、介護は「いつまで続くのか」が分かりません。5年かもしれないし、10年、20年続くこともあります。
余命宣告を受けているという少ないケースでは、時間やお金をかけることもできたり、体に鞭を打ち無理をすることも少しはできるかも知れません。
この「終わりの見えない介護」が大きな不安を生み、介護者にとって最も重い負担となるのです。

だからこそ、「介護の負担をいかに減らすか」が大切になります。介護を受ける本人も、介護を担う家族も、無理をしすぎず、できる限りストレスの少ない状態で生活できることが理想です。
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森さんは自宅のリフォームやヘルパーさんの雇用をすべて自費で払っていた。
介護生活は想像以上にお金がかかり、将来への不安が大きくなっていく。
ある日、周囲の助言で区役所に相談に行った。
森さんは、「どうしたらいいか分からない」と泣きながら相談した。
区役所の担当者から丁寧に介護保険制度について説明を受けた。そこから、ようやく十分な支援を受けられるようになった。



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介護に関する知識を元々持っている方はいません。介護に直面をし、初めて介護と向き合います。その為、誰でも知識が全く無い中で介護が始まります。
急な介護に直面している中で、学習をし、不安ながら決定をしていく…。
何が正しいか分からないですよね。

家のリフォームに関しては、「住宅改修」と呼ばれる制度を利用ができます。
家に手すりをつけたり、段差をなくしたりといった工事を行えます。
家の工事を20万円まで負担割合(1～3割)の金額で行えます。

1割負担であれば、家中に手すりをたくさん付けて20万円かかっても支払いは2万円で済みます。
最近では知られては来ておりますが、良い制度はいくつもあります。

ヘルパーさんもおむつの交換・お風呂に入れてもらう・買い物に行ってもらう・掃除をしてもらう等を1割等の負担で依頼ができます。
「訪問介護」と呼ばれるサービスです。


お近くの包括支援センターでご相談が可能です。
包括支援センターは、ある程度の人口ごとの区域を担当して設置されている地域の相談所のような機関です。

老人ホームの相談に関しては、私にご相談ください！！

介護は、身体的にも経済的にも負担を極力減らし、「継続をしていける状態」をいかに保てるかが重要です。
必要な知識は、自力で調べても知りきれず、活用をすることも難しいです。

設置されている期間に頼りつつ、まずは介護体制づくりを十分に行いたいです。
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森さんが介護を始めて18年後。
夫が通っていた障害保健福祉センターでボランティアを始めた。
クリスマス会などで利用者と一緒に歌い、それに合わせて手を叩く。森さんにとっても楽しく、やりがいのある時間であった。
「音楽の仕事も介護も両方携わっている私だからこそできることだと思う」と語った。




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日本では少子化・高齢化が進み、人口減少も問題になっております。
介護業界でも担い手不足が深刻な問題ですが、様々な業界でも同じ問題を抱えています。
しかし介護業界は他のあらゆる業界とつながっています。

食の業界 → 高齢者の食事・介護食
衣服の業界 → 介護用の衣類やパジャマ
住まいの業界 → バリアフリー住宅や福祉用具エンタメ業界 → 施設でのレクリエーションやカラオケ
自動車業界 → 車椅子対応の福祉車両

このように介護業界はどんな分野にも直結します。別の業界の技術は、介護業界で活きます。


森さんのように素敵な技術を持つ方が別の業界でも活躍をする、定年退職をした方がセカンドキャリアとして別の職に就く等で新たな働き手を創出していくことは必要になってきます。

新しい技術や知識を身につけて介護分野に挑戦する「リスキリング（Reskilling）」もこれからますます必要になります。


リスキリング…新しい分野に挑戦をするために学習をすること。新しい職務に対応ができるよう学び直すこと。
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森さんは、介護の経験を通じて、街で困っている人を見かけたら自然と声をかけられるようになった。
また、自分が困ったときには素直に「助けてください」と言えるようになったと振り返る。

さらに森さんは、「もしタイムマシンで時を遡れたとしても、過去は変えないほうがいいと思う。介護を経験したことで宝物を得たような気がするから」と語った。



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介護はつらいだけではありません。
介護を通じて人の気持ちに敏感になり、困っていることに気づけ、助け方も分かります。
助け合いの心が持てるようになります。


私も介護業界で勤めていることを良かったと考えています。
よりニーズが高まる分野でさらに活躍ができるよう、努めて参ります！！

介護は突然始まります。知識がないまま介護に直面し、不安を抱え、迷いながら進んでいくのが当たり前です。だからこそ、介護者自身が倒れてしまわないように、制度を活用し、支援を受けることが大切です。

森公美子さんの介護の経験は、多くの方にとって大きな学びになります。「介護は辛いだけでなく、宝物にもなる」という言葉は、これから介護に向き合う人に勇気を与えてくれるのではないでしょうか。

私自身も介護業界に関わる者として、介護を必要とする方と介護を担う方の双方に寄り添いながら、より良い形で介護ができるよう努めて参ります。