1. 少人数制による家庭的な環境

グループホームの最大の特徴は、「少人数制」です。
1ユニットあたり5～9人の認知症高齢者が共同生活を送り、食事や掃除、洗濯などをスタッフとともに行います。
大規模な施設とは異なり、家庭のような温かい雰囲気の中で過ごすことができるため、認知症の方にとって安心感があります。


2. 認知症に特化した支援

グループホームは、認知症の診断を受けた方のみが入居可能です。
認知症に対する理解と専門的な知識を持ったスタッフが常駐しており、個々の状態に合わせた支援を提供します。
進行を遅らせるためのレクリエーションや、日々の生活の中でのリハビリテーションも行われます。

3. 地域密着型のサービス

グループホームは「地域密着型サービス」に分類されており、原則として住民票がある市区町村内の施設にしか入居できません。
これは、住み慣れた地域でその人らしい暮らしを続けていくという理念に基づいています。
地域とのつながりを大切にし、地域住民との交流も重視されています。

グループホームに入居するためには、以下の条件を満たしている必要があります。
• 認知症の診断を受けていること（医師の診断書が必要）
• 要支援2以上の介護認定を受けていること
• 原則として、施設と同じ市区町村に住民票があること
• 集団生活に適応できること（暴力行為や重度の精神疾患がない）


また、医療行為が必要な場合（胃ろうやインスリン注射、吸引など）は入居できないことが多いため、医療面の受け入れ体制には注意が必要です。

グループホームでは、利用者ができる限り「自分の力で生活すること」を重視しています。
あるグループホームの1日を例に挙げてみましょう。


• 7:00〜 起床・身支度
• 8:00〜 朝食準備・朝食
• 9:00〜 掃除や洗濯（できる範囲で入居者が行う）
• 10:00〜 レクリエーション（体操、塗り絵、歌など）
• 12:00〜 昼食の準備・昼食
• 13:30〜 散歩や個別活動、入浴
• 15:00〜 おやつ・交流タイム
• 18:00〜 夕食準備・夕食
• 19:00〜 くつろぎ・自由時間
• 21:00〜 就寝

日々の生活は施設が決めるのではなく、利用者の意思や習慣を尊重しながら進められます。
こうした暮らしの中で、認知症の方が自信を持ち、自立した生活を維持できるよう支援されます。

グループホームの費用は、大きく分けて以下の3つに分類されます。


1. 介護保険サービス費（1割〜3割負担）
　介護度や所得に応じて、負担割合が異なります。

2. 居住費・食費・日常生活費
　施設によって差がありますが、月額で10万〜15万円程度が相場です。

3. その他費用
　おむつ代、理美容代、医療費、レクリエーション費用などが別途必要になることがあります。


なお、低所得の方には「補足給付」という制度もあり、負担を軽減できる場合があります。

メリット

• 少人数で落ち着いた環境の中で生活できる
• 認知症に特化したケアを受けられる
• 生活の中での役割を持ち、自立が促される
• 地域の中での暮らしを継続できる

デメリット

• 医療行為が必要な方は入居できない場合が多い
• 地域限定のため、希望する地域に空きがない場合も
• 集団生活が合わない方にはストレスになることも
• 職員の質に差がある（施設によってサービスレベルが異なる）

グループホームは、認知症になっても「自分らしい生活」を諦めずに送れる場として、多くの高齢者やその家族から選ばれています。
家庭的な雰囲気の中で、できることを続けながら生活することで、認知症の進行を緩やかにし、穏やかな毎日を支えています。

認知症の方の介護に悩んでいるご家族にとっても、グループホームは大きな支えになります。
専門的なケアを受けられるだけでなく、入居者の「その人らしさ」が尊重されるこの施設形態は、今後ますます注目されるでしょう。

グループホームを検討する際は、見学や体験利用などを通じて、その施設の雰囲気や職員の対応をしっかりと確認することが大切です。

ご本人にも、ご家族にも納得できる選択をしていきたいです。